「AIはICEより嫌われている」NBC世論調査の衝撃──好感度-20、若者・女性ほど拒否感が強い理由

|Aitly編集部

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2026年3月17日|Aitly編集部

NBC Newsが2026年3月に発表した世論調査で、アメリカの有権者のAIに対する好感度がICE(移民税関捜査局)を下回るという結果が明らかになった。r/ChatGPTでこの調査結果が共有されると、640超のアップボートと69件のコメントを集め、活発な議論が展開されている。

調査結果の概要:AIの好感度は「イランと民主党」の次に低い

NBC Newsの調査はHart Research AssociatesとPublic Opinion Strategiesが共同で実施し、2026年2月27日から3月3日にかけて1,000人の登録有権者を対象に電話・オンラインで行われた(誤差範囲 ±3.1ポイント)。

AIに対して肯定的な見方を示した有権者はわずか26%。否定的な見方は46%にのぼり、AIのネット好感度はマイナス20ポイントだった。27%は中立的な立場をとっている。また57%が「AIのリスクはメリットを上回る」と回答し、メリットが上回ると答えた34%を大きく引き離した。

NBC News調査:主要トピックのネット好感度ランキング

イラン -53
民主党 -22
AI(人工知能) -20
ICE(移民税関捜査局) -18
共和党 -14
トランプ大統領 -12

出典:NBC News世論調査(2026年2月27日〜3月3日、n=1,000)

若者と女性ほどAIを嫌っている

調査で最も注目すべきは属性別の差だ。18〜34歳のネット好感度はマイナス44と、全属性中で最も低い。49歳以下の女性もマイナス41と極めて低い水準にある。AI技術に最も触れる世代が、最もAIを嫌悪しているという逆説的な結果だ。

一方、唯一プラスに転じたのは50歳以上の男性(+2)と高所得層(+2)にとどまった。党派別では民主党支持者の否定的見方が最も強く(肯定20% / 否定56%)、共和党支持者は拮抗している(肯定33% / 否定33%)。

「使っているけど嫌い」という矛盾

この調査には興味深いパラドックスがある。AIに否定的な有権者が46%いる一方で、56%がChatGPTなどのAIプラットフォームを直近2ヶ月以内に利用していると回答している。2025年12月時点の48%から8ポイント上昇しており、利用率は右肩上がりだ。

職業別では、専門職・管理職の77%、ホワイトカラー労働者の74%がAIを利用。ブルーカラー労働者は50%、退職者は30%と差がある。AIの利用が広がるほど不安も増すという構図は、技術そのものの問題ではなく、AIが社会にもたらす影響への懸念の表れと言える。

Redditの反応:「嫌っているのはAIの誇大広告」

r/ChatGPTでこの調査が共有されると、640超のアップボートを集めた。コメント欄では、単純なAI賛成・反対の二項対立を超えた議論が展開されている。

「面白いのは、毎日AIを使っているのにAIを嫌っているグループがいるということだ。私はあらゆることにAIを使い、強力なツールだと認めている。それでも、すべてのホワイトカラー労働者を置き換える準備ができているという主張には憤りを感じる」

71 upvotes

「驚きはない。ほとんどの人が日常で経験する”AI”は、精度の悪いオートコンプリート、基本的な質問にも答えられないチャットボット、勝手に文章を補完しようとするスマホだ。AIラボがステージでデモするものと、普通の人が実際に遭遇するものの間のギャップは巨大だ」

9 upvotes

「正直、人々が”AI”と聞いて思い浮かべるのは、レイオフと不気味な監視であって、宿題を手伝ってくれるチャットボットではないと思う。こういう世論調査は、回答者の頭の中にあるAIの定義に依存する」

5 upvotes

共通して指摘されるのは、人々が「AI」という言葉から連想するイメージと、実際のAIツールの有用性が大きく乖離しているという点だ。技術そのものへの拒否ではなく、雇用喪失や監視社会といった「AIがもたらす社会変化」への不安が、好感度を押し下げている。

背景にある雇用不安のデータ

AI嫌悪の背景には具体的な雇用データがある。NBC Newsの報道によると、直近9ヶ月のうち5ヶ月で雇用市場が縮小しており、2025年11月時点で失業者の25%が4年制大学の学位を持つ。AI導入が進む産業で22〜25歳の雇用は2022年後半から16%減少している。

Redditのコメントでも「10年後にはAIアクセスが国家安全保障の壁の向こう側に閉じ込められ、高額なサブスクリプションでしか利用できなくなるだろう」(7 upvotes)という予測や、「中国はAIを全面的に統合してカリキュラムの一部にしている。アメリカ人はAIに関する誤情報を鵜呑みにしすぎた」(4 upvotes)という危機感も見られた。

どちらの政党も信頼されていない

AI政策に関する政党評価も厳しい。共和党がAI対応に適していると答えた有権者は20%、民主党は19%。33%は「どちらの政党も適切に対応できない」、24%は「どちらも同じ」と回答した。AI規制をめぐる政治的リーダーシップの不在が、国民の不信感をさらに増幅させている。

Pew Research Centerの2025年調査でも、62%のアメリカ人が「政府がAIを効果的に規制できるとは思わない」と回答しており、この傾向は一貫している。テクノロジーへの不安と政治への不信が重なることで、AIに対する拒否反応が増幅される構造が見えてくる。

Aitly編集部の視点:嫌われているのは「AI」ではなく「AI社会」

この調査結果から読み取れるのは、アメリカ人がAI技術そのものを拒否しているわけではないということだ。利用率は56%と過半数を超え、上昇を続けている。嫌われているのは「AI」という3文字が象徴する社会変化のほうだ。雇用の喪失、企業による監視、創造性の代替、そしてそれに対して何の手も打たない政治。

Redditの71 upvotesを集めたコメントが最も的確にこの矛盾を表現している。「毎日使っているが、嫌いだ」。道具としてのAIと、社会を変革する力としてのAIは、同じ技術でありながらまったく別の感情を引き起こす。日本でも同様の傾向が今後強まる可能性があり、「便利だけど不安」という感情にどう向き合うかが、AI時代を生きるうえでの重要な課題になる。