Alibaba Cloud、AIサービス料金を最大34%値上げ|DeepSeek・OpenClawブームで需要が供給を超える

|Aitly編集部

海外ニュース速報 — 2026年3月18日

Alibaba CloudがAIコンピューティング料金を最大34%値上げ。需要急増とハードウェアコスト上昇が直接の引き金となった。

Alibaba Cloud、AIサービス料金を最大34%値上げ

Alibaba Cloudは2026年3月18日、AIコンピューティングおよびストレージ製品の料金を最大34%引き上げると発表しました。値上げは2026年4月18日に施行される予定です。

具体的な値上げ対象は、Alibaba傘下の半導体部門T-Headが開発したAIアクセラレータチップ「Zhenwu 810E」に関連するコンピューティングパワーカードサービスで、5〜34%の幅で引き上げられます。また、AIモデルの推論・学習で使われるトークン関連サービスや、ストレージ製品も値上げ対象に含まれています。

今回の値上げの主要ポイント

対象サービス 値上げ幅
T-Head Zhenwu 810E 関連コンピューティング 5〜34%
トークンベースの推論・学習サービス 値上げ
クラウドストレージ製品 値上げ

施行日:2026年4月18日

Alibaba自身の公式声明によると、今回の値上げは「グローバルなAI需要の急増」と「コアハードウェアの調達コスト上昇」の2点を主な理由として挙げています。Bloombergはこれを「大手テック企業が相次いでAI関連価格を引き上げる動きに加わったもの」と報じています。

値上げの背景|DeepSeek・OpenClawブームで需要急増

今回の値上げの直接的な引き金は、2025年末から2026年初頭にかけて中国国内で爆発的に拡大したAI需要です。

DeepSeekの登場で国内外の企業がAI活用を一気に加速させた結果、Alibaba Cloudのトークン使用量は急増しました。さらに2026年に入ってからはOpenClawのブームが加わり、AIコンピューティングリソースの消費は供給を大幅に上回る状況が続いています。

Alibaba Cloudだけではありません。Futunn(富途牛牛)の報道によれば、Baidu Intelligent Cloudも同時期に同様の値上げを発表しており、TencentのクラウドサービスもAIエージェント開発プラットフォームで値上げ戦略を打ち出しています。中国クラウド大手3社が横並びで価格を引き上げるという、前例のない事態が起きています。

中国クラウド大手の動向(2026年3月)

  • Alibaba Cloud(阿里云):AIコンピューティング・ストレージを最大34%値上げ(4月18日施行)
  • Baidu Intelligent Cloud(百度智能云):AIコンピューティング料金を同時期に値上げ
  • Tencent Cloud(腾讯云):AIエージェント開発プラットフォームで値上げ戦略を発表

供給側の制約も深刻です。米国による半導体輸出規制が続く中、中国のクラウドプロバイダーは最先端GPUの調達に苦労しており、T-Head製チップへの依存度が高まっています。それらの調達コストが上昇していることも、今回の値上げを後押ししました。

中国AI市場の「値上げ」は何を意味するのか

中国のクラウド各社による値上げは、市場の構造変化を示す重要なシグナルです。これまで中国のAIクラウド市場は「価格競争」が常態でした。Alibaba、Baidu、Tencentの3社が低価格を武器にシェア争いを繰り広げてきたのが実態です。

しかし今回、3社が同時期に値上げを発表したことで、価格競争から「需要管理・コスト転嫁」フェーズへの移行が鮮明になりました。Morgan Stanleyのレポートによれば、中国のAIクラウド市場(GenAI関連IaaS+MaaS)は今後5年間で年率72%という驚異的な成長が見込まれており、その最大の恩恵を受けるのはAlibaba Cloudだとされています。

値上げは短期的には企業の負担増につながりますが、クラウド企業にとっては利益率改善と設備投資原資の確保を意味します。供給逼迫が解消されない限り、この傾向は続く可能性が高いと言えます。

日本のAIユーザーへの影響

今回の値上げが日本企業に直接影響するのは、主にAlibaba Cloud(阿里云)の日本リージョンを利用している企業です。日本法人向けサービスについても、4月18日以降に同様の料金改定が適用される見込みのため、現在Alibaba CloudでAI関連ワークロードを動かしている場合はコスト試算の見直しが必要です。

より広い視点では、中国クラウドの値上げはグローバルなトレンドの一端です。AWSやMicrosoft Azure、Google Cloudも需要増加に伴うコスト圧力に直面しており、今後の価格動向に注目が集まっています。クラウドコストの最適化(FinOps)の重要性が、あらためて高まる局面といえます。

Aitly編集部の見解

Alibaba Cloudの値上げは「AIバブル」ではなく「本物の需要」が存在することの証拠です。供給が追いつかないほどの実需があるからこそ、価格競争で鍛えられた中国クラウド大手でさえ値上げに踏み切らざるを得ない状況になっています。

特に注目すべきは、値上げが単発ではなくAlibaba・Baidu・Tencentの3社同時であるという点です。業界全体でリソース逼迫が起きており、今後しばらくはAIコンピューティングコストの上昇傾向が続くとみるべきでしょう。

AIツールを活用する個人・企業ユーザーにとっては、利用しているサービスのバックエンドがどのクラウドに依存しているかを意識しながら、コスト動向をウォッチすることが重要になっています。

参考リンク

この記事はAitly編集部が一次ソースをもとに作成しました。