Microsoft、Copilot部門トップを交代|GoogleとOpenAIに後れをとりAIリーダーシップを再編

|Aitly編集部
海外ニュース速報 ・ 2026年3月18日

Microsoft、Copilot部門トップを交代|GoogleとOpenAIに後れをとりAIリーダーシップを再編

元Snap幹部のJacob Andreou氏がEVPに昇格。Mustafa Suleyman氏は「超知能」モデル開発に専念へ。

この記事のポイント

MicrosoftはCopilot部門を大規模に再編し、元Snap幹部のJacob Andreou氏をExecutive Vice President(EVP)に任命。消費者向け・法人向けの両Copilotを一本化して指揮させる。Mustafa Suleyman氏(Microsoft AI CEO)はCopilotの日常管理から離れ、次世代モデル「超知能」開発に集中する体制へと移行した。

Microsoft、Copilot部門トップを交代|AIリーダーシップ再編

MicrosoftはCopilot組織のトップを交代した。2026年3月17日(米国時間)、同社は公式ブログで組織変更を発表し、Jacob Andreou氏をCopilotのEVP(上級副社長)に昇格させた。Andreou氏は元SnapのProduct & Growth担当幹部で、2025年からMicrosoft AI部門でCorporate Vice Presidentを務めていた人物だ。

新体制ではAndreou氏がCEOのSatya Nadella氏に直属し、消費者向けCopilotと法人向けCopilotの両方を統括する。従来は別々に管理されていた2つの組織が一本化されることで、製品・設計・成長・エンジニアリングを横断的に指揮できる体制が整う。

一方、現Microsoft AI CEOのMustafa Suleyman氏(DeepMind共同創業者)は、Copilotの日常的なプロダクト管理から外れ、フロンティアモデルや「超知能(Superintelligence)」と呼ばれる次世代AI基盤の開発に専念する役割に移行する。Copilotリーダーシップチームは、Andreou氏とSuleyman氏に加え、LinkedIn CEOのRyan Roslansky氏、Microsoft 365担当のCharles Lamanna氏、Copilot for Azure担当のPercy Clarke氏で構成される。

なぜ再編が必要だったのか──GoogleとOpenAIに対する遅れ

再編の背景には、Copilotの市場競争力の低下がある。AI検索・アシスタント市場のシェアデータによると、Copilot(Web版)の市場シェアは2025年1月の約1.5%から、2026年1月には1.1%前後まで落ち込んでいる。同期間にGoogle GeminiはChatGPTを猛追し、業界内での存在感を急拡大させた。

CopilotはWindowsやMicrosoft 365に深く統合されているにもかかわらず、ユーザーは独自にChatGPTやGeminiを選ぶ傾向が続いた。2025年12月にはNadella氏自身が社内メモで「Copilotのいくつかの連携機能は”実際には動いていない”」と認める異例の発言をしており、製品の完成度への不満が内部でも高まっていたことが明らかになっていた。

また、消費者向けと法人向けのCopilotチームがそれぞれ独立して動いていたことで、ブランドの一貫性やユーザー体験の統一が難しくなっていたという問題もあった。Nadella氏は今回の変更について「組織の境界は戦略を単純に反映すべきだ」と述べており、分散した体制を集約することで意思決定を加速させる狙いがある。

新体制の詳細|Andreou氏への権限集中とSuleyman氏の役割転換

Jacob Andreou氏は、Snapでは「Snap Spectacles」や「Discover」などのプロダクト成長を主導したことで知られる。Microsoft入社後は、Copilotの製品企画と市場展開を担当し、AIアシスタントとしての認知度向上に取り組んできた。今回のEVP昇格により、Andreou氏はCopilotの全製品ラインにわたる戦略的意思決定権を持つことになる。

Suleyman氏の役割転換は、Microsoftの長期戦略を読み解くうえで重要な意味を持つ。同氏がフロンティアモデル開発に集中することは、MicrosoftがOpenAIへの依存を段階的に減らし、独自のAIモデル基盤を構築しようとしている流れと一致する。WindowsCentralの分析によれば、この再編はMicrosoftが「OpenAIフリーな未来」に向けて布石を打つ動きとも解釈できる。

Copilotリーダーシップチームに名を連ねるRoslansky氏(LinkedIn CEO)やLamanna氏(Microsoft 365)の参加は、Copilotをメールやカレンダー、ビジネスネットワークにさらに深く組み込む意図を示唆している。

Copilotの今後の方向性

Microsoftの今後の戦略は「超知能への投資」と「Copilotの即時改善」の二本立てになる見通しだ。Suleyman氏がモデル開発に集中することで、将来的にはGPT系以外の独自モデルがCopilotを支えるシナリオも現実味を帯びてくる。

Andreou氏のもとでは、ユーザー体験の一貫性向上と採用率(Adoption Rate)の回復が最優先課題になるとみられる。企業向けCopilot(Microsoft 365 Copilot)は年間30ドル/ユーザーの追加料金が障壁になっており、中小企業を中心にROI(投資対効果)への懐疑論が根強い。新体制がこの課題にどう答えるかが、今後の評価軸になるだろう。

消費者向けCopilotについては、無料プランの強化やモバイルアプリの体験向上が求められる。2025年後半にはCopilot Mico(表情豊かなアバター)やグループチャット機能が追加されたが、ChatGPTやGeminiとの機能差を縮めるには一段の加速が必要な状況だ。

Aitly編集部の見解

今回の再編で注目すべきは、Microsoftが「製品リーダー」と「技術リーダー」を明確に分離した点だ。Suleyman氏のような研究畑の人物がモデル開発に専念し、プロダクト成長の専門家であるAndreou氏がユーザー体験を担う構造は、GoogleがDeepMind(研究)とGoogle AI Studio(製品)を分ける体制に似ている。

ただし、課題は根本にある。CopilotはWindowsに標準搭載されているにもかかわらず市場シェアが1%台に留まっている現実は、「プリインストール≠使われる」ことを示している。ユーザーがわざわざCopilotを選ぶ理由──つまり「差別化された価値」の提示こそが、新体制が最初に問われる試練だ。

Andreou氏のSnapでの実績を踏まえると、ビジュアル体験やエンゲージメント設計の強化が次の打ち手として浮上してくる可能性が高い。2026年中にどれだけCopilotの採用率が改善するかを注視したい。

参考リンク

この記事はAitly編集部が英語メディアの一次情報をもとに執筆・編集しました。情報は2026年3月18日時点のものです。