ブリタニカ&メリアム・ウェブスターがOpenAIを提訴──「ChatGPTは出版社の収益を奪っている」

|Aitly編集部

海外ニュース速報

出典:FortuneTechCrunchWashington Timesheise online|2026年3月20日

ブリタニカ&メリアム・ウェブスターがOpenAIを著作権侵害で提訴

百科事典の最高権威Encyclopaedia Britannicaと、英語辞書の代名詞Merriam-Websterが共同でOpenAIを著作権侵害で訴えました。提訴先はニューヨーク南部地区連邦地裁で、ChatGPTの訓練に10万件を超える両社の記事が無断使用されたと主張しています。

両社はいずれも数百年の歴史を持つ知識出版の老舗です。Britannicaは1768年創刊、Merriam-Websterは1828年に初版を出版しており、編集者・専門家が積み重ねてきたコンテンツの価値がAI学習によって一方的に吸い上げられたという訴えになります。

訴訟の中身|「ChatGPTがウェブ出版社の収益を枯渇させている」

訴訟の核心は「ChatGPTがウェブ出版社の収益を枯渇させている(starves web publishers of revenue)」という主張です。ユーザーがChatGPTに質問すると、元の記事へアクセスすることなく回答が得られるため、出版社にはトラフィックも広告収入も発生しません。つまりAIモデルがコンテンツを”吸収”し、ユーザーとの間に立ちはだかる中間搾取構造になっていると訴えています。

BritannicaとMerriam-Websterは、自社のコンテンツがChatGPTの回答にほぼそのまま反映されている例を複数示しているとされます。定義・解説・歴史的記述といった事実の正確性が求められる分野ほど、専門出版社のコンテンツへの依存度が高く、被害額も大きいという論理です。

Redditの反応|「言葉の定義を企業が所有すべきか」

Reddit(r/OpenAI)では456アップボート・119コメントが付き、活発な議論が起きています。著作権の範囲とAIの公益性をめぐり、意見は大きく割れました。

60 ups 「言葉の定義を企業が所有すべきなのか?」
59 ups 「OpenAIを訴えてない人って誰かいるの?」
45 ups 「13語使っちゃった。いくら請求されるんだろう」
12 ups 「物理辞書はGoogle登場以来使ってない。ChatGPTで定義を調べるのとGoogleで調べるのと何が違う?」
8 ups 「LLMが全コンテンツを吸い上げて再配布すると、広告収入が消える→情報がペイウォールの裏に→無料情報がなくなる」

皮肉やジョークが目立つ一方、「広告モデルの崩壊→ペイウォール化→無料情報の消滅」という負の連鎖を指摘する冷静な意見もあり、問題の根深さを物語っています。

AI著作権訴訟の現在地

今回の訴訟はAI企業に対する著作権訴訟の波がさらに大きくなっていることを示しています。New York Times、Getty Images、複数の音楽レーベルなどがすでにOpenAIやその他のAI企業を提訴しており、Britannica・Merriam-Websterの参戦は「権威ある知識コンテンツ」の分野にまで戦線が拡大したことを意味します。

裁判所がどのような判断を下すかによって、AIモデルの学習データの扱い方は根本から変わる可能性があります。仮にOpenAI側が敗訴すれば、大規模なライセンス契約やコンテンツ使用料の支払いが業界標準になるでしょう。逆にフェアユースが認められれば、出版業界のビジネスモデル転換が一段と加速することになります。

Aitly編集部の見解

Britannicaの訴訟は、AI時代の「知識の対価」をめぐる本質的な問いを突きつけています。Redditで「言葉の定義を企業が所有すべきか」という声が最も支持を集めたのは象徴的で、ユーザーから見れば「便利に使えればそれでいい」という感覚が正直なところでしょう。しかし、コンテンツ制作者への対価が消えれば質の高い情報そのものが生まれなくなるというジレンマは無視できません。

AIツールを選ぶ側としても、自分が使っているサービスがどのようにコンテンツを調達しているかは意識しておくべきポイントです。今後の判決次第では、AI各社のサービス内容や料金体系が大きく変わる可能性があり、引き続き注視が必要です。

文:Aitly編集部|2026年3月20日