GTC 2026
この記事のポイント
- NVIDIA CEOジェンスン・ファンがOpenClawを「間違いなく次のChatGPT」「人類史上最も成功したオープンソースプロジェクト」と評価
- CNBCのJim Cramerとのインタビューで発言、GTC 2026の基調講演後
- Seeking Alphaアナリストは提携を「NVIDIAの周期性を変えるゲームチェンジャー」と分析
- NemoClawによるエンタープライズ展開でハードウェア依存度をさらに高める戦略
- 「すべてのSaaS企業がエージェント企業になる」とHuangが宣言
「間違いなく次のChatGPT」──Huang CEOの断言
NVIDIA CEOジェンスン・ファンは2026年3月17日、GTC 2026の会場であるサンノゼからCNBCのJim Cramerとの「Mad Money」インタビューに出演し、OpenClawについて「これは間違いなく次のChatGPTだ(This is definitely the next ChatGPT)」と断言した。
Huangはさらに踏み込み、OpenClawを「人類史上最大かつ最も人気があり、最も成功したオープンソースプロジェクト」と評した。GitHub上で25万スターを超え、Reactを抜いて非アグリゲーター系ソフトウェアとして最多スターを記録しているOpenClawの成長を考えれば、大げさな表現とは言い切れない。2026年1月25日にオーストリアの開発者Peter Steinberger氏が約1時間で最初のバージョンを構築してから、わずか2か月足らずでの爆発的成長だ。
ChatGPTとの違い──チャットボットからエージェントへ
HuangがOpenClawをChatGPTと比較した意図は明確だ。ChatGPTは「質問に答えるAI」としてAIの大衆化を実現した。OpenClawは「タスクを自律的に実行するAI」として、次のパラダイムシフトを起こすとHuangは見ている。The Next Platformの分析では「OpenClawはエージェントAIにとってのGPTである」と表現されている。
Huangは具体的なユースケースとしてキッチンデザインの例を挙げた。OpenClawエージェントが画像を分析し、デザインツールを学習し、アイデアを反復改善し、成果物を自律的にブラッシュアップする。人間が1つずつ指示を出すのではなく、エージェントが自ら考え、試行錯誤する。「すべての大工が建築家になれる。すべての配管工が建築家になれる。私たちは全員の能力を引き上げる」とHuangは語った。
NemoClawとの提携が「ゲームチェンジャー」とされる理由
NVIDIAはGTC 2026の基調講演でNemoClawを正式発表している。OpenClawにエンタープライズ級のセキュリティ基盤(OpenShellサンドボックス、プライバシールーター、ポリシーガードレール)を追加するオープンソーススタックだ。Seeking Alphaのアナリスト Danil Serera氏はこの提携を「NVIDIAの周期性を変える真のゲームチェンジャー」と評価した。
その論理はこうだ。OpenClawエコシステムが拡大すれば、NemoClawを通じてNVIDIAハードウェアへの依存度が高まる。ソフトウェア開発がNVIDIA環境に最適化されることで「ハードウェアの粘着性」が生まれ、企業はNVIDIAプラットフォームから離れにくくなる。単なるGPU販売にとどまらず、エージェントAIのインフラ全体をNVIDIAが押さえる構図だ。
「すべての企業にOpenClaw戦略が必要」──SaaS企業への警鐘
Huangは基調講演で「世界中のすべての企業がOpenClaw戦略を持たなければならない」と宣言した。さらに「すべてのSaaS企業がAGaaS(Agent-as-a-Service)企業になる」とも述べている。
36Kr Englishの分析記事はHuangのGTC 2026スピーチを「1万語に及ぶ演説」と報じ、「AIファクトリー時代にアプリケーションの80%が消える」というHuangのビジョンを紹介している。従来のSaaSアプリケーションがAIエージェントに置き換わる未来を見据えた発言だ。CNBCの別のインタビューではテクノロジーアナリストのKevin Xu氏が「NVIDIAのOpenClaw推進はハードウェアを超えたシフトを示している」と評価した。
GTC 2026の文脈──1兆ドル収益見通しとVera Rubin
OpenClawに関する発言はGTC 2026全体の文脈の中で理解する必要がある。Huangは同じ基調講演で、BlackwellおよびVera Rubinチップの需要により2027年までに少なくとも1兆ドルの高確度収益機会があると表明した。DLSS 5の発表、Olafロボットのデモと並び、OpenClaw/NemoClawの発表はGTC 2026の目玉の一つだった。
NVIDIAの戦略は明確だ。AIエージェントの普及がGPU需要を底上げする。OpenClawのエコシステムがNVIDIAハードウェア上で動作するNemoClawを通じて拡大すれば、チップ販売の安定的な成長ドライバーになる。Huangが「次のChatGPT」と表現した背景には、ChatGPTがNVIDIA GPU需要を爆発させたのと同じ構図をOpenClawに見ている、という意味が込められている。
OpenClawの急成長を振り返る
OpenClawがHuangにここまで言わせるほどの存在になった経緯を整理する。2026年1月25日にPeter Steinberger氏が最初のバージョンを公開して以降、異例のスピードで成長を遂げた。
GitHubスター25万超という数字は、Linux・Kubernetes・TensorFlowといった過去の巨大プロジェクトと比較しても異例の速度だ。OpenClawはNode.jsベースの長時間稼働サービスとして動作し、WhatsAppやDiscordなどのメッセージングプラットフォームをインターフェースとしてAIエージェントを実行する。ユーザーのローカルマシン上で動作する「セルフホスト型」が基本設計であり、この点がクラウド依存のChatGPTとは根本的に異なる。
Aitly編集部の見解
Huangの「次のChatGPT」発言は、ポジショントークであると同時に、AI業界の潮流を正確に捉えている。ChatGPTが「AIと会話する」体験を大衆化したように、OpenClawは「AIに仕事を任せる」体験を大衆化する可能性を持つ。チャットボットからエージェントへの移行は、検索からSNSへの移行に匹敵するパラダイムシフトだ。
ただし冷静に見るべき点もある。第一に、NemoClawはまだアルファ段階であり、エンタープライズ本番環境での実績はこれからだ。第二に、OpenClaw自体にセキュリティ上の課題(プロンプトインジェクション、無制限のファイルアクセス等)が指摘されており、NemoClawがこれを完全に解決できるかは未検証だ。第三に、HuangがOpenClawを絶賛する最大の動機は「NVIDIA GPUの需要拡大」であり、純粋な技術評価だけではない。それでも、NVIDIAという巨大企業がオープンソースのAIエージェントフレームワークに本格的に賭けた事実は、エージェントAI時代の到来を強く裏付けるものだ。
よくある質問
OpenClawとは何ですか?
なぜHuangは「次のChatGPT」と言ったのですか?
NemoClawとの関係は?
一般ユーザーにも影響がありますか?
参考リンク
- CNBC「Nvidia CEO Jensen Huang says OpenClaw is ‘definitely the next ChatGPT’」
- CNBC Exclusive「Transcript: Jensen Huang Speaks with Jim Cramer」
- Seeking Alpha「Nvidia-OpenClaw team up a ‘gamechanger’」
- NVIDIA公式プレスリリース「NVIDIA Announces NemoClaw」
- The Next Platform「NVIDIA Says OpenClaw Is To Agentic AI What GPT Was To Chattybots」
- 36Kr「Jensen Huang’s 10,000-word Speech at GTC 2026」